内製と外注を突き詰めた先にあるものとは【D2C NEXT S3レポート】
2021.06.27
流通総額1000億円を超える住宅プラットフォームサービスを目指し事業を展開しているギバーテイクオール株式会社。そんな弊社は現在、一緒に働く仲間を募集しています。
そこで今回は、弊社が大切にしている思いや事業について知っていただこうと思います。話を聞いたのは、代表の河野。創業したきっかけから、今後の展望まで語ってもらいました。
河野 清博(こうの・きよひろ)
日系コンサルティングファームに新卒入社後、2013年株式会社リブコンサルティング入社。最年少マネージャー、最年少事業部長を経て、2017年2月ギバーテイクオール株式会社を創業。現在は住宅業界向けのCtoC主体のマッチングプラットフォーム「auka(アウカ)」の開発を行う。
ーーまずは改めて、業務内容のご説明をお願いします!
住宅業界向けのBtoBtoCのマッチングプラットフォーム「auka(アウカ)」の開発・運営を行っています。私自身がコンサルティング会社の住宅不動産部門のキャリアをずっと歩んでおり、その中で感じた「あったらいいな」というサービスを実現したのがaukaです。
ーーどのような経験がaukaに反映されているんですか?
住宅業界は、性能やデザインなどさまざまな強みがたくさんあります。そのため、営業力改善のコンサルティングをしていると、ある日は「性能が大切です」とコンサルをし、またある日は「性能ではなくデザインが重要です」とコンサルするということが日常茶飯事。ですが結局、私が各社の強みを伝えれば伝えるほど、選ぶ側であるユーザーが悩んでしまうことに気がつきました。
その経験の中で「ユーザーが楽に選択ができるようなお手伝いができるサービスがあればいいな」と感じ、それが創業のひとつのきっかけだったように思います。
あとは、私が住宅系の仕事をしていたこともあり、30代に入って徐々に地元・滋賀県の友人から「ここで家を買ったんだけどどう思う?」と報告が届いていたこともきっかけです。
正直「もっと早く相談してくれたら手伝えたのに」と思うことが多くて……。これまではコンサルタントとして工務店を通してその姿を把握していた“ユーザー”が、自分の地元の同級生という形に解像度が上がったことで、「私がやりたいサービスを実現したら、こういう人たちを救えるんだ」と感じたので、創業を決意しました。
ーー「auka」の特徴を教えてください。
基本的には、工務店と住宅購入を検討しているエンドユーザーとをマッチングするビジネスです。しかし、ただ繋ぐだけではなく、家を買うまでの悩みにずっと寄り添いながらお客さまの正しい意思決定を支援していくサービスにしたいという思いを持って運営しています。
なので、ユーザーひとりに専任アドバイザーをつけ、そのメンバーを介して工務店とやり取りを行うことで、意思決定の際の悩みを解決したり、決断の際の背中を押してあげたりというサービスを展開しています。
ーー創業からこれまでを振り返って、苦労した経験はありますか?
弊社は、スタートアップが通る失敗の8割は経験してきていると思います。
まず初期に、CTOの泉森がいない状態だったので、開発を外注して失敗しました。これは、私にITの知識がなかったがゆえの失敗だったと思います。この失敗を経験し、やはり社内に詳しい人がいないと困ると思い、CTO候補を探しました。泉森が入ってくれてからはかなり改善しましたね。
ーー泉森さんはどういったきっかけで入社されたんですか?
何せIT業界に知り合いがいなかったので、ビジネスマッチングアプリを活用してかなりの数のBizDev職やマーケ職、投資家の方と会いました。創業当初は1日3〜5名と会うことを課していましたね。
ですが、エンジニアはなかなかマッチングに出てきてくれないので、お会いしたエンジニア全員に「あなたが知っている一番優秀なエンジニアを教えてください」と尋ねまして。その方を紹介してもらい、その中でも私と一番ビジネス的な感覚が近かった泉森に「助けてくれ」「うちに来てほしい」とお願いしました。
ーー会社として大切にしているのはどんなことですか?
ブラッシュアップして生まれた新しいミッションの「人生の決断コストをゼロにする」という思いを大切にしています。
戸建てを購入する際、注文住宅と建売という二つの方法があります。注文住宅を建てる場合には、情報を収集するコストはもちろん、情報を集めた上で交渉していくコスト、工務店が信用できるかどうかを見極めるコスト、最終的に意思決定するコストといった多くのコストが存在します。
「auka」では、それらをゼロに近づけてあげられたら、インターネットで本を購入する感覚で住宅も買えるような世の中にできるのではないかと考えています。
そして、新しいミッションは“人生の”というワードも鍵になっています。注文住宅は購入してから完成までにおよそ8ヶ月かかり、その間に住宅ローンの控除に関する申請や火災保険の加入、引越し業者選定などといった「その方の人生に付随する決断コスト」もかかるわけです。
その後も親の介護問題など、人生には“決断”がつきもの。住宅購入の際にはお金の情報や不動産情報をはじめとしたさまざまな情報を事前にいただけるので、それらの情報と培った信頼関係をベースに、住宅購入後の将来の決断もサポートできるのが理想です。
ゆくゆくは「大きな意思決定の時には『auka』がサポートしてくれる」という状態を作っていきたいと思っています。
ーーありがとうございます!では、会社としての信念はベースに、河野さん自身が働く上で大切にしている価値観はありますか?
アダム グラントさんの『GIVE & TAKE「与える人」こそ成功する時代』という書籍内に出てくる“Giver”と“Taker”の考え方がとても好きで。端的に言うと、“Giver”は自分から与えられる人、“Taker”は自分がいかに先にもらえるかを考える人を意味しています。
私自身も“Giver”でありたいと思っていますし、本質的に当たり前にギブできる人たちと仕事をしたいと考えています。
“Giver”には自分でなるのであって、その組織に入ったからなれるわけではないと思っているので、採用の段階でしっかりとすり合わせていきたいと思っているのが本音です。
ーーなるほど。河野さんの判断軸や、意思決定する際の指針も聞きたいです。
「自分だけで決めない」ことですね。スタートアップは社長の独断で話が進むことが多いと思いますが、弊社は必ず戦略会議で議題にあげ、メンバーの信任を得てからスタートするようにしています。その結果として、私の意見の採用率は40%以下ですね。
正しい意思決定や“やり切る”ためには、メンバーがやりたいと思うことが重要。私のひと声で進めてしまうのであれば、組織である必要はないと思うんです。
さらに、弊社の中で「解決策よりもイシューの方が大事」という考え方が強いという背景も影響していると思います。「これがやりたい」という方法よりも、「今、取り組むべき重要な問題は何か」「どのような問題を解決したいのか」を議論し尽くすことを重要視しています。
ーー「今後、どういう組織にしたい」「こういったことを実現したい」という目標はありますか?
現状は、地方で家を買うとなると、まず皆さん展示場に足を運びます。要は「なんとなくざっくり家がどんなものか確かめたい」というニーズに応える最高のソリューションが住宅展示場になっているわけです。その第一想起を「auka」にしたいと考えています。
そして、お酒が好きなのでお酒で例えて社内に伝えているのですが、「ワインを作っている醸造家じゃなくて、ジャックダニエルを作ってるような蒸留所になりたい」と思っています。
ーー具体的に教えてください!
高級ワインのロマネコンティは、1本の単価は高いですが、総売り上げはひとつの畑で6億円程度といわれています。対して、代表的なウイスキーのジャックダニエルは年間売り上げ250億円程度。その背景には、ITの力を活用して機械化を行っていることがあるそうです。
そして、ワインはある種味にばらつきがあることを価値にしている一方で、ジャックダニエルは同じラベルであれば同じ味を楽しめるという品質の安定性を価値にしています。
そういった意味でジャックダニエルのような、ITと人の力とのバランスが絶妙な蒸留酒のような会社を目指しています。
例えば「auka」では、ITのみに頼り切るのではなく、あえて人手を活用した“マネージド・マーケットプレイス”というビジネスモデルを採用しています。
ーー「人×ITのバランスが絶妙な会社」を目指す上で、具体的にはどういう事業展開を考えているのでしょうか?
2段階に分けてお話します。
直近では、人×テクノロジーにおけるテクノロジーの比率を上げていくため、マッチング部分にAIのアルゴリズムを導入しています。
そして、現状も「auka」に情報は登録していただいているものの、工務店もどんどん進化を遂げているため、全国の工務店情報を随時更新し切れていない部分があります。
そのため、今後は「工務店向けのSaaS」の展開を考えています。SaaSは、工務店の自社マーケティング・セールスを向上させるためのシステムです。社内では、この二つのサービスを合わせて「マーケットプレイス with SaaS」と呼んでいます。
工務店それぞれにSaaSを活用してもらうことで、工務店の施工事例や営業マンの情報といった最新データをためられ、結果「auka」のデータも常に最新のものにアップデートできると考えています。情報の新しさと量が更新されることで、結果的に「auka」のマッチングクオリティを上げるというモデルを作る予定です。
人が家の購入を検討し始めてから契約するまでに起こる具体的な購買行動すべてがデータでたまるので、ブラックボックスを「auka」が解消していけるのではないかと思います。
さらに、まだこちらは構想段階でしかありませんが、弊社でマイホームを購入した方を起点に、「同じ属性の人がどのような意思決定をするか」をデータとしてためて紐付け、住宅以外にも展開できたらと考えています。
ーー現状、どのような人材を探していますか?
マーケッターと、エンジニアチームは明確に足りていません。
第一想起を「auka」にするためには、オフラインを絡めたマーケティングが必須になると考えています。オンラインとオフライン両方とも強化していかなくてはなりませんが、まだまだ手が足りていないので助けてもらいたいです。
また、今後AIやSaaSをやっていくことを考えると、社内にエンジニアチームを作りたいと考えています。ゆくゆくは20〜30名規模のチームにしていきたいですね。現在CTOとして泉森がいますが、まだまだチームとして大きくないので、強化していく予定です。
ーーどんな方がギバーテイクオールに合っていますか?
「イシューや論点がこうだから、こういうクリエイティブは合う」という提案ができる方、課題から逆算して提案してくれる方は弊社とすごく相性がいいと思います。
反対に、「このクリエイティブ、なんとなくイケてると思うんですけどどうですか?」というタイプは残念ながら合いません。
toC向けサービスではあるのですが、BizDev思考というか、ビジネス課題をどう解決するかをデータやファクトをベースに考えられる方だと、とても働きやすいと思います。
ーーありがとうございました!
インタビュアー:ギバーテイクオール株式会社 採用広報担当
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