広告の次の販路を開くマーケティングとは【D2C NEXT S2レポート】
2021.06.27
ビジネスに欠かせない「実践力」。実際に急成長を遂げている企業は、どのような戦略を持って事業を展開しているのだろうか。
本記事では、2021年5月24日(月)に開催されるGAINWINGS CONFERENCE D2C NEXTにも登壇していただく、株式会社レバレッジ代表の只石昌幸さんに、VALXの現状と成功の秘訣を語ってもらった。
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只石 昌幸さん(ただいし・まさゆき)
1998年に株式会社キーエンスに入社後、2000年に個人事業主として独立。2006年に株式会社レバレッジを設立し、代表取締役CEOに就任。
河合:広告費をほとんど使わず、驚異的な売上と成長を達成しているVALXですが、急激な成長を達成した方法と今後の目標を教えてください。
只石:そもそも、筋トレ領域はある一定のラインを超えると一気に獲得コストが上がってしまうこともあり、広告に頼れなかったという背景があります。そこで、「広告に頼らない方法をやり切ろう」ということでYouTubeをはじめとしたSNS運用に取り組みました。
その結果、広告比率を10%に抑えるという成果を出すことができ、広告ありきの通販のあり方に一石を投じられたのではないかと考えています。
また、掲げている「唯一の価値を、圧倒的に。」というビジョンにもあるように、我々はやるなら圧倒的に、圧倒的にできないならやらないと決めているので、その軸をブラさずに今後もチャレンジをしていこうと思っています。
河合:現在はどのような「圧倒的な挑戦」をされているのでしょうか?
只石:目標のひとつとして挙げているのは、圧倒的な上場です。より影響をもたらし業界を変えるために、上場という手段を利用したいと考えています。
河合:圧倒的な上場というのは?
只石:4年後にいきなり東証一部に上場しようという目標を設定しています。
河合:確かに圧倒的ですね。
河合:VALXが急成長した背景には、YouTubeやTwitterをはじめとしたSNSの活用があるかと思うのですが、実際に活用してみてどう感じていますか?
只石:YouTubeはユーザーに見てもらえる時間が長いため、TwitterやInstagramに比べてやはりモノが動くと感じました。動画内でユーザーに学びを提供できればできるほど、信頼を獲得できます。そういった背景から他のSNSよりもユーザーが濃いので、購買にも繋がりやすいのだと思いました。やり続ける価値はありますし、今からでも遅くないと思います。
僕たち自身は、「山本義徳先生と何かブランドを立ち上げよう」という目的からYouTubeを立ち上げました。話し合いを進める中でEAA9に的を絞って商品化をすることに決め、商品の開発と並行してYouTubeを活用してEAA9の布教活動をスタートしたんですよね。
YouTube上で山本先生にEAA9の魅力を語ってもらっていたのですが、何せEAA9は市場規模が小さいので、すぐに売り切れてしまう。皆さんの興味と購買欲が高まっていたところに、満を辞してVALXのEAA9を発売できたので、爆発的な人気を獲得できました。単発のPRではなく、半年間YouTube上で時間をかけてじっくり仕込んだことが実を結んだのだと思っています。
とはいえ、こんなに語っているものの、SNSの戦略はそれほど決めていないんです。
河合:戦略はないんですか?
只石:はい。SNSの運用は確かにとても重要です。しかし、戦略の根幹ではないと考えています。
河合:では、VALXが急激な成長を遂げた戦略の根幹とは何なのでしょう?
只石:「ただひたすらやる」。それだけです。
河合:ひたすらやるというのは、どういうことですか?
只石:僕らの場合は、本当にいいものをそれなりの価格で届けること。それをただひたすらやっただけです。
河合:いいものというと、具体的には?
只石:僕は、クオリティが高いことはもちろんですが、「そのクオリティなのに、そこそこ安くて手が届く」という価格も含めていいものだと言えると思っています。そして、D2Cのブランドとして、ユーザーと向き合い続けることこそ戦略の根幹だとも考えています。
例えば僕は、VALXについて言及してくれているものに対しては、どんなことであっても全て反応しています。実際に「シールが剥がれてしまっていた」という声をTwitterで見つけたときは、その方に「どういう風に剥がれてしまっていますか?」と返信しましたし、VALXのことを悪く言っている方がいれば「どこが悪かったのか」を尋ねます。
そうやって、商品を改良するためのユーザーの声を取りこぼさないことがいいものを作る根幹になっています。
あとは、いろんな人から相談を受けますが、「今何やれば売れますか?」の思考はダメ。儲かりそうだから、流行っているから乗っかろうという思考は捨てるべきです。ただひたすらやり切るためには、自分ひとりでもいいから本当に必要だと思える領域を選ぶことが重要です。
河合:やり切ることが重要だと理解できても、なかなか継続できない方が多いと思います。只石さんがやり切れる理由はどこにあるのでしょう。
只石:過去の成功体験があるからです。
大人になってから始めた極真空手で3年間一度も誰にも勝てず、「向いていない」と辞めようとしたのですが、「色々やろうとせず、正拳突きだけ極めてみろ」というアドバイスを当時の師範にもらい、最後に試したところ、その後8回の優勝という結果を残せたのです。ビジネスだけではなく、他の分野でも突き詰めることで達成できると実感した出来事でした。
河合:とはいえ、やはり「自分のやり方はもしかしたら違うのではないか」「どうしても他の正解があるのではないか」と考えてしまうのですが、その場合どうすればいいのでしょうか?
只石:やり切っている人のそばにいきましょう。
僕は就活のとき、目指している企業に受かった方数十名に実際に会いにいって話を聞きました。事業を始める際にも、その道のプロ数十名に頭を下げて会ってもらいました。
そして、メンバーにも同じようにやり切れる環境が必要だと思ったので、YouTubeを始めるときには、何十名ものYouTuberを弊社のマーケターに引き合わせました。マーケターから「もう十分です」と言われても、「何かひとつでも得られることがあると思うから、お願いだから会ってほしい」と言って会わせていたくらいです。
やり切れる環境を作ることはとても重要。それがVALXの成功にも繋がっていると思います。
河合:最後に、改めてチャレンジしていきたいことを教えてください。
只石:目指すは世界です。将来的にアメリカ西海岸へ進出したいと考えていますが、まずはアジア展開を予定しています。
何事に対しても「圧倒的にやり切る」ことで結果を残していきたいです。
河合:本日は貴重なお話をありがとうございました。
そして、GAINWINGS CONFERENCE D2C NEXTでもお話を伺えるとのことで、当日は今回話し切れなかったお話もできますと嬉しいです。
只石:もちろんです。僕も楽しみにしています。
■カンファレンス概要
開催日 2021年5月24日(月)
時間 11:00〜18:00
開催 形式オンライン配信
料金 無料
定員 1000名(先着)
主催 株式会社hypex
■カンファレンス登壇者一覧
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